
HSPとギフテッドは同じ?

いいや、ちがうよ!
くわしく解説していくね!
前半では、HSPとギフテッドのちがいについて解説します。
後半では、ギフテッドの特性を活かすためのヒント5つに迫ります。

HSPとギフテッドの違いとは?

HSPとギフテッドの違いとは?似ているけど異なる2つの特性について解説します。
- 共通点があるからこそ混同されやすい
- HSPは「感覚処理の深さ」が特徴
- ギフテッドは「認知能力の突出」が核
- HSPは“環境”に強く影響を受ける
- ギフテッドは“才能の先行性”が鍵
1つずつ見ていきましょう。
1.共通点があるからこそ混同されやすい
HSPとギフテッドの方には
- 「感受性が高い」
- 「考えすぎる傾向がある」
- 「集団行動が苦手」
といった共通点があります。
どちらも周囲とズレを感じやすく、生きづらさを抱えがちなんです。
しかしこの共通点だけで「同じ」と判断してしまうと、本来の特性を見失ってしまうことがあります。

ギフテッド研究を行うペルファー博士も、ギフテッドとHSPはオーバーラップする部分があるが、根本的な神経的基盤は異なると述べています。
2.HSPは「感覚処理の深さ」が特徴
HSPさんは、
- 音
- 光
- 人の表情
などの微細な情報を深く処理する特性を持っています。
これはエレイン・アーロン博士の研究によって提唱された概念で、「DOES(深い処理・過剰な刺激を受けやすい・共感性の高さ・敏感な感覚)」としてまとめられています。
つまり、HSPさんは外部刺激を強く受け取ってしまうため、ストレスや疲れやすさが特徴なんです。
3.ギフテッドは「認知能力の突出」が核
ギフテッドは、IQ130以上の高い知能指数を持つだけでなく、特定の分野において極めて高い理解力や創造力を持つ人を指します。
ギフテッドの子どもは、年齢に不釣り合いな思考力や感情表現を持つことが多く、「浮いてしまう」経験をしやすい傾向があります。
米国心理学会によると、ギフテッドの特徴には“非同期発達(知的・感情的・身体的発達のバラつき)”が見られることが報告されています。
4.HSPは“環境”に強く影響を受ける
HSPさんは、生まれ持った神経の特性により、環境から受ける影響が非常に大きいんです。
例えば、安全で優しい環境にいると能力を発揮しやすくなり、逆にストレスフルな環境では心身がすぐに疲弊してしまいます。
アーロン博士の研究では、HSPさんは「感受性が高い=育て方や環境に対する反応性が高い」とされており、サポート体制の有無が適応に大きく関わってくるんです。
5.ギフテッドは“才能の先行性”が鍵
ギフテッドの方は、学習や論理的思考、芸術など特定分野で飛び抜けた才能を幼少期から見せることが多いです。
そのため、周囲の子どもたちと話が合わなかったり、学校の授業が退屈すぎてストレスになることもあります。
彼らは「感受性が高い」場合もありますが、それは「才能」と切り離して考えるべきとされています(Silverman, 2013)。
「HSP × ギフテッド」かもしれない人の特徴5つ

「HSP × ギフテッド」かもしれない人の特徴5つを解説します。
- ひと一倍「感覚が鋭い」と感じる
- すぐに「考えごと」に入り込んでしまう
- 小さな違和感に「強く反応」してしまう
- 感情の揺れ幅がとても大きい
- 社会的ルールに違和感を覚えやすい
ゆっくり見ていきましょう。
1.ひと一倍「感覚が鋭い」と感じる
HSPさんの特性として、五感がとても鋭いという特徴があります。
例えば、人が気づかない音や光に強く反応したり、においや肌ざわりにも敏感なんです。
そこにギフテッドの特性が加わると、刺激を「鋭く察知し、深く分析する」という傾向が出やすくなります。

これにより、日常の些細な変化にも即座に気づくため、疲れやすくなることもあるんです。

心理学者アーロン博士の研究によれば、HSPさんは視床や島皮質の活動が活発で感覚処理が深いとされているよ!
2.すぐに「考えごと」に入り込んでしまう
HSPさんはもともと深く物事を考える傾向がありますが、ギフテッドの方はそこに高い思考力や想像力が加わります。
そのため、ひとつの出来事からいくつもの可能性を連想し、頭の中でストーリーを展開してしまうこともあるんです。
例えば「今の言い方、もしかして怒ってたかも…」と考えたら、そこから人間関係全体の見直しまで進んでしまうことがあります。

これは過剰適応や“過剰内省”とも呼ばれ、認知心理学でも注意が必要な傾向とされています。
3.小さな違和感に「強く反応」してしまう
HSPさんは環境の変化にとても敏感で、ギフテッドの特性を持っているとその感受性はさらに強くなります。
例えば、教室や職場でのちょっとした空気の変化、誰かの声のトーンの違いなど、他の人が気にしないような違和感にもすぐに気づいてしまうんです。
そしてその違和感を「なぜ起きたのか」と深く考え込んでしまうこともあります。

これは「誤警報理論」にも関係していて、危機察知能力が高い脳の構造が背景にあるとされています。
4.感情の揺れ幅がとても大きい
HSPさんは他人の気持ちに共感しやすいですが、ギフテッドの方は感情の処理も非常に深く、時には過剰になってしまうこともあるんです。
例えば、誰かの悲しみに触れただけで自分まで強く落ち込んでしまったり、喜びを爆発的に感じることもあります。
心理学ではこれを「情動過敏(emotional overexcitability)」と呼び、ギフテッドの一部によく見られる特徴とされています。

感情が豊かだからこそ、心のバランスを取る工夫が必要になるんです。
5.社会的ルールに違和感を覚えやすい
「なんでこれが普通なの?」と感じることが多いあなたは、HSPさん×ギフテッドかもしれません。
強い倫理観や正義感を持ち、周囲に流されずに「自分なりのルール」で生きようとする傾向があります。
例えば、形式だけの会議や意味のない慣習にストレスを感じたり、表面的な会話に違和感を持ちやすいんです。

これは「自己の一貫性を保ちたい」という欲求と、「高い内的基準」を持つギフテッド特有の考え方に由来するものなんです。
ギフテッドHSPさんの葛藤とは?

ギフテッドHSPさんの葛藤とは?について解説します。
- 周囲と感覚が合わず、孤独を感じやすい
- 自分の中に“理想”が強くありすぎて苦しくなる
- 才能を活かせる“居場所”が見つからない
- 「できる人」として期待されすぎてしまう
- 感性の豊かさが“刺激の多すぎ”につながる
1つずつみていきましょう。
1.周囲と感覚が合わず、孤独を感じやすい
ギフテッドHSPさんは、感受性と知的好奇心がどちらも非常に高い傾向があります。
そのため、周囲の人が気にしないことに悩んだり、深く考え込んだりしてしまうことがあるんです。
例えば、会話の中で空気の微細な変化や矛盾に気づいてしまい、それをどう処理すべきか迷ってしまうこともあります。

これは「過度な共感性」や「高い処理感度」によるもので、心理的な孤立感につながりやすいんです。

研究でも、ギフテッドな人ほど孤独感を抱えやすいと指摘されているよ(Silverman, 2013)。
2.自分の中に“理想”が強くありすぎて苦しくなる
ギフテッドHSPさんは、他人の気持ちに共感する力と、自分の中の理想の高さの両方を持っています。
だからこそ「こうありたい」という思いが強く、その理想と現実のギャップに苦しみやすいんです。
例えば
- 「もっと貢献したいのに体力がついていかない」
- 「ちゃんとやらなきゃと思うのに傷ついてしまう」
といった内面的なジレンマが起こりやすくなります。
これは“理想自己”と“現実自己”の乖離によって生じるもので、心理学では「自己不一致理論」として知られています。
3.才能を活かせる“居場所”が見つからない
HSPさんでありギフテッドでもあるあなたは、繊細で賢いがゆえに、多くの場所で「浮いてしまう」と感じやすいんです。
例えば、仕事でもチームのスピード感と合わなかったり、アイデアが深すぎて理解されにくかったりします。
「自分だけズレているのでは」と感じてしまう背景には、独自の視点を持っていることがあるんです。
これは才能の裏返しとも言える現象で、ギフテッドの人が一般的な枠組みに収まりづらいことを示しています(Dabrowski, 1996)。
4.「できる人」として期待されすぎてしまう
ギフテッドHSPさんは、一見すると“なんでもできる人”に見られやすいんです。
だからこそ、まわりから期待されすぎて「本当はつらい」と言い出せなくなってしまうこともあります。
例えば「あなたなら大丈夫」と言われたとき、内心では「誰にも理解されない」と感じることもあるんです。

このような“感情の押し込み”は、バーンアウト(燃え尽き症候群)やうつ状態の原因にもなり得ます。

米国心理学会の報告でも、期待に応えようとするギフテッドの若者が心の不調を抱えるリスクが高いと指摘されているね
5.感性の豊かさが“刺激の多すぎ”につながる
HSPさんはもともと刺激処理が深いのに、ギフテッドの特性も加わると、情報や感情の処理量がさらに膨大になります。
そのため、日常のちょっとした出来事でも、心がいっぱいいっぱいになってしまいやすいんです。
例えば、
- 友人の表情
- 職場の雑音
- 人間関係の空気感
など、いくつもの要素を同時に処理しようとして疲れてしまいます。
これは「感覚処理感受性(SPS)」という神経的な特性によるものとされており、脳の過活動とも関係しています(Aron et al., 2010)。
HSPがギフテッドの特性を活かすためのヒント5

HSPがギフテッドの特性を活かすためのヒント5つを解説します。
- 才能を「特別な力」ではなく「日常の力」として活かす
- “違和感”を大切にしてみる
- エネルギーを「守る」「使う」のバランスを取る
- 「正しさ」より「あなたらしさ」
- 共感し合える「仲間」を見つける
1つずつみていきましょう。
1.「日常の力」として活かす
ギフテッドと聞くと、天才的なイメージを持つ人が多いかもしれません。
でも、HSPさんが持つギフテッドの特性は、日常生活の中で十分に活かすことができるんです。
例えば、相手の気持ちに気づく力や、物事の本質を見抜く力は、人間関係や仕事でも大きな価値を発揮します。

大切なのは、「誰かに認められること」ではなく、「あなたが心地よく感じる形」で能力を使うことなんです。

心理学者リンダ・シルバーマン博士の研究でも、ギフテッドの強みは“日常の共感力や創造力”として表れると報告されているよ!
2.“違和感”を大切にしてみる
HSPさんは、まわりが気づかない違和感を敏感に察知できる力を持っています。
それは
- 「おかしいな」
- 「なんか変だな」
と感じるセンサーが高性能だからなんです。
この違和感をスルーせずに掘り下げていくことで、深い気づきや問題解決のヒントが見つかることもあります。
例えば、職場の改善点や、相手が言い出せない悩みに先に気づけることもあるんです。
脳科学的にも、HSPさんの扁桃体(感情の警戒センサー)は活性化しやすい傾向にあるとされており、これは“危機察知能力”とも言えるんです。
3.エネルギーを「守る」「使う」のバランスを取る
ギフテッドなHSPさんは、集中すると深く物事を考えられる一方で、刺激に疲れやすい特性もあります。
だからこそ、自分のエネルギーを守る工夫と、効果的に使う工夫が両方必要なんです。
例えば、
- 「人と会う予定は1日1つまでにする」
- 「深い思考は静かな朝にまとめてやる」
など、自分の特性に合わせた生活リズムが役立ちます。
心理学ではこのような自己調整力を“セルフ・レギュレーション”と呼び、幸福感と強く関係していると報告されています(Gross, 2014)。
4.「正しさ」より「あなたらしさ」
ギフテッドなHSPさんは、正しさや完璧を求めるあまり、自分を追い込んでしまうことがあるんです。
けれど、すべてのことに「正解」はなく、あなたの感性や思いこそが、周囲に新しい視点を与えてくれるんです。
例えば、
- 「もっと柔らかくてもいい」
- 「感情を表現してもいい」
と思えるようになると、生きやすさがぐっと広がります。
自己受容(self-acceptance)の研究でも、自分らしさを認めることがストレス耐性や幸福感に大きく影響することが示されているんです(Neff, 2003)。
5.共感し合える「仲間」を見つける
HSPさんでありギフテッドでもあるあなたにとって、理解し合える仲間の存在は大きな安心になります。
「自分の感性は間違っていない」と実感できる場所は、エネルギーの源になるんです。
例えば、同じように繊細で感性豊かな人たちとつながるコミュニティや、オンラインの対話会なども心の支えになります。
社会心理学の研究でも、「自己一致のある対人関係」はストレスの軽減や自己肯定感の向上に効果があるとされています(Rogers, 1959)。
HSPとギフテッドが重なるあなたへ

HSPとギフテッドが重なるあなたへ、知っておいて欲しい内容を解説します。
- 感じすぎるのは「弱さ」じゃなく「感受性の高さ」
- 「周囲と話が合わない」と感じても、それはあなたが変なんじゃない
- 「考えすぎるあなた」は、未来に役立つ力を持っている
- 「生きづらさ」は、あなたの感性が未開拓なだけ
- あなたの存在そのものが、すでに価値
1つずつ見ていきましょう。
1.感受性が高いということ
HSPさんでありギフテッドでもあるあなたは、まわりの刺激や空気に人一倍反応しやすいかもしれません。
例えば、周囲の一言や表情に深く傷ついたり、誰も気づかないようなことに敏感に反応したりすることがあるんです。
けれど、それは「神経質」なんじゃなくて、脳の処理の仕方が人とは違っているからなんです。

心理学者エレイン・アーロン博士の研究でも、HSPさんは「深く処理する神経構造」を持っているとされています。

だからこそ、あなたの感じ方にはちゃんと理由があるんだよ
2.あなたがおかしいんじゃない
ギフテッドの特性を持つ人は、独自の考え方や高い直感力を持っています。
そのため、他の人が思いつかないことを自然に発想してしまうことがあるんです。
でもそれゆえに、孤独を感じたり「どうしてわかってもらえないんだろう」と悩んだりすることもあるんです。
実際、ギフテッドの研究でも「知的孤立感」や「仲間の少なさ」は共通の課題とされているんです(Silverman, 2013)。

だからあなたが感じているそのズレは、特異性の証でもあるね
3.未来に役立つ力を持っている
HSPさんでありギフテッドなあなたは、思考が深く、何事にも意味を見出そうとする傾向があります。
例えば、普通の人がスルーするような問題にまで立ち止まって考えることがあるんです。
これは時に疲れるかもしれませんが、複雑な問題を解決したり、誰かの気持ちに深く寄り添ったりする大きな力になるんです。

アメリカ心理学会の報告でも、「深い内省」は創造性や倫理的判断力と強く関連することがわかっています。
4.あなたの感性が未開拓なだけ
HSPさんとギフテッドが重なると、繊細さと鋭さが同時に存在するため、生き方がアンバランスに感じることがあるんです。
でもこれは、あなたが間違っているからではなく、社会がまだその個性に合った環境を十分に用意できていないだけなんです。
あなたのような人がこれから必要とされる時代が来るからこそ、無理に周囲に合わせる必要はないんです。

少しずつ、あなたの感性に合った働き方・人間関係を選んでいくことが大切!
5.存在そのものが、すでに価値
HSPさんであり、ギフテッドでもあるあなたは、
- 感受性
- 知性
- 直観力
の3つを併せ持ったとても希少な存在です。
苦しいときもあるかもしれませんが、だからこそ見える景色や気づける優しさが◎
「普通」に見えなくても、それは“深く物事を感じている証”。

無理に変わる必要はないし、今のあなたのままで価値があるんですよ!
心理学者カール・ロジャーズの言葉を借りれば、「ありのままのあなたを受け入れること」が、真の癒しのはじまりなんです。
HSPのよくある質問

HSPのよくある質問をまとめました。
- HSPは妄想癖を持ちやすい?
- 外出でぐったりする
- すぐ泣く
- 怒ると怖い
- なんだか虚しい
1つずつ解説します。
HSPは妄想癖を持ちやすい?
「HSPは妄想癖を持ちやすいですか?」という相談。

たくさんのことを考えるから、そうなることもあるね

脳の特性ですよね
外出でぐったりする
「外出でぐったりすることありますか?」という相談。

ぐったりすることはあるよ!

5つの理由を解説します。
すぐ泣く
「HSPはすぐ泣きますか?」という相談。

泣く場面は多いかな

涙もろさの正体を解説します。
怒ると怖い
「HSPは怒るとこわいですか?」という相談。

怖いよ!笑

怒りを爆発させると大変なことに!
なんだか虚しい
「なんだか虚しいと思うことが増えました」という相談。

そうだったんだね

3つの背景を見ていきましょう。